<決算方法>Part1「税理士を解体する」④税理士の比較が難しいわけ
この「税理士を解体する」のタイトルでもう4回目となりました。心を込めた全力投球の記事達を読んでいただけましたか?
今回は「税理士の比較」というタイトルですが、これは本当に難しいです。
社長さんたちは常に多くの人に出会い、人間に対する洞察力がかなり高いです。それでも税理士の判別は難しいです。
分かりやすく例えてみましょう。
あなたがAとB、二種類のサプリメントを紹介されたとします。ともに明確な結果が出るのが10年後、それぞれ単独で服用してくださいと言われたら、検証結果に20年かかることは誰でも分かりますよね。
これと税理士の比較は非常によく似ています。
さらに言うなら、明確な判断基準を持っていない限り、税理士の良し悪しは永遠に分かりません。先程のサプリメントでいうなら、例えば10年後に「血圧がどれだけ安定しているか」などという基準です。
社長、あなたは今の顧問税理士にどんな基準を課していますか?
仮に、「キャッシュフローがどれだけ良くなったか」の基準で2つの決算方法を試したとして、どちらが良いか何年経ったら分かるでしょうか。
一般的にキャッシュフロー経営となると痛みを伴います。非常に資金繰りが厳しい時期が続きます。それは最低5年から10年かかります。この期間を経営者が耐えるにはそれなりの信念が必要なのです。
仮にどちらも試したとして、やはり20年かかります。経営者にそんな時間はないのです。
結論を言います。
社長に税理士の良し悪しを判別する力はない。
言い方を変えると、「税理士に要求することが明確でない」となります。
とはいえ、皆さんは私のブログを読んで勉強しておられるのですから、より良い税理士に巡り合いたいと思われることでしょう。
税理士の判断基準を誰に託せば良いしょう?
答えは・・・どこにもない・・・となります。
ただ、以下のことを整理すると、問題解決法が少し見えてきます。
社長、あなたはどんな経営をしたいですか?2択で行きます。
①法人税納付ランキングなどで上位に入り、地域に貢献している企業になりたい。
②会社存続を第一とし、雇用を守り、顧客を守り、子孫代々会社を続けていきたい。
さあ、どちらですか?一般的に①②は共存しません。
意外かも知れませんが、上記のことは税理士選びの基本事項なのです。
①を選択するなら、税理士選びに苦慮する必要はありません。どんな税理士でも利益さえしっかりあれば達成してくれます。こんな簡単な決算はありません。私でも出来ます。
②を選択するとなると、税理士選びは大変難しくなります。
なぜなら、決算方法に様々な工夫が必要になるからです。②の要は「キャッシュフロー」と「円滑な事業承継」にあります。この2つに卓越した税理士さんは非常に少ないです。
決算の現場で説明しましょうか。
ほとんどの税理士が「利益が出たら法人税を払って内部留保を大きくする」という決算を組みます。これが「キャッシュフロー」的にも最適だと信じているからです。ところが結果キャッシュは残りません!何度も言います、税理士は経営の現場を知らないからです。もっと言うと関与したくないのです。キャッシュが残らない理由を社長の無駄遣いだと責任転嫁さえします。これは一部正しいとしても、社長という人種を理解してない税理士の能力不足の方が大きな原因だと私は思っています。社長に使わせない決算を組まない限り、キャッシュは残りません。
次に、「円滑な事業承継」ですが、ここまで考えて決算を組む税理士はさらに少ないです。つまり、「法人税」「所得税」「相続税」の3つのバランスをしっかり把握していることになります。税理士として非常に能力が高いです。
一般的な税理士は今期のみ、つまり目先の「法人税」と「所得税」の比較しかしません。しかも乱暴な最高税率だけを持ち出して、「法人税の方が安いから、社長、法人税で納めましょう」とまことしやかに言います。悪魔のささやきと表現してもいいと思います。実際に社長の役員報酬1,200万円、法人税2,000万円という決算をよく目にします。これは言語道断、今すぐ顧問変更すべきです。こんな税理士に限って将来訪れる相続税のツケを自分で解消しようとしないのです。詐欺商法といっても過言ではありません。
<付記>この部分については、別の記事で詳しく書きます。
まとめましょう。
①の決算は誰にでも出来ます。素人でも出来ます。
しかし、②の決算は高度な経験と能力が必要です。なにしろ社長を屈服させるほどの理論と熱意が必要だからです。
社長、あなたが税理士ならどちらでやっていきますか?
このように税理士選びは社長自身の考え方、時間経過による人格形成などに大きく左右されます。
社長が愛の人になれば、選択は自ずと②になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。